第12回目の岩国基地に関する協議会(5月12日)詳細と43項目進捗状況 


山口県報道発表 岩国基地に関する協議会(第12回)の開催について(結果報告)

米軍岩国基地に係る安心・安全対策の達成状況(43項目)PDFファイル

第12回岩国基地に関する協議会(2017年5月12日)、全文起こし

西日本総局=丹田智之

 

■冒頭あいさつ

 

〇福田良彦市長

本日は大変お忙しい中、岩国基地に関する協議会にご出席いただきましてありがとうございます。
この協議会も今回で12回目の開催になります。本協議会におきましては、平成21年2月に第1回を開催して以来、これまで岩国基地に関する諸課題の解決に向けて国・県・市の3者で協議を重ねてまいりました。
去る9月20日に空母艦載機の移駐について、早ければ今年の9月以降に開始され、以後、段階的に移駐が行われることが示されたところであります。
市におきましては、空母艦載機の移駐の判断については、具体的なスケジュールが示されたことにより、協議にいったん区切りをつけなければならない時期が問われたものと受け止めております。

43項目の安心・安全対策につきましても本日、一定の整理をしたいと考えております。もちろん、基地に関する課題はそれだけではなく、それぞれの課題についても一層のスピード感を持って問題解決を図っていく必要があります。安心・安全対策や地域振興策、その他のさまざまな課題について今後も解決に向けた努力と3者の協議は続けていかなければならないと考えております。
基地を抱える自治体として住民の安心・安全を守る取り組みは終われないと思っております。
本日、これまでの協議にいったん区切りをつけさせていただきますが、基地が存在する限り続く諸課題については、引き続き国において誠意を持って取り組んでいただくと同時に今後も緊密な連携をもとに協議を進めてまいりたいと考えております。この協議会を通して今後も国・県・市が共同して努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

〇菅原隆拓・中国四国防衛局長

本日はお忙しい中、岩国市と山口県の皆様におかれましては、岩国基地に関する協議会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。また、日頃より岩国飛行場をはじめ防衛施設の安全確保に関し多大なるご理解とご協力をいただきありがとうございます。

さて、ご案内の通り本協議会では岩国市からご要望がありました米軍基地に関する安全・安心対策について岩国市および山口県ならび中国四国防衛局の3者が、共同して問題解決を図るために定期的な協議を行う場として平成21年に設置された場で、今回が12回目の開催です。
本日の協議会においては、岩国市からご要望がなされております米軍岩国基地に関わる安心・安全対策に関する43項目の要望の進捗状況についてご説明するとともに航空機騒音状況などもご説明したいと考えております。
いずれにいたしましても防衛施設を安定的に使用するためには、地元の皆様方のご理解とご協力が不可欠であります。そのためには岩国飛行場周辺の皆様に安心して安全に暮らせる環境を確保することが必要である。防衛省として極めて重要な施策であると認識しております。
従いまして当局といたしましては、これらの安全・安心対策について誠心誠意対応してまいりたいと考えており、本日の協議会においても率直かつ忌憚のない意見交換を行うことにより協議の深化を図ることができればと思っております。どうぞ、よろしくお願いします。

 

〇矢敷健治・山口県総務部理事

平素より皆様方には基地問題の解決に向けましては情報交換を密にしながら連携して対応していく中で大変お世話になっております。この席をお借りいたしまして御礼申し上げます。
さて、空母艦載機の移駐については、まさに正念場を迎えていると思っております。地元の意見集約を受けまして43項目の安心・安全対策について議論する重要な場であろうかと考えております。
県としましては、国や岩国市の皆様と課題を共有し、前に進めるべく引き続きしっかり支援していく所存であります。本日の協議会が有意義な場となりますことを祈念いたします。

 

■協議会後の記者会見

 

〇福田良彦市長

時間の関係から、協議事項に沿って要点のみを申し上げたいと思います。詳細内容については後ほど整理したものを報道資料としてお配りしたいと思います。
まず、冒頭でも申し上げましたが、今回の協議会は移駐前に一定の区切りとなる協議会でありまして、安全・安心対策の43項目について確認をし、また整理をしたところであります。
まず、43項目要望の進捗状況については、これまで岩国市として要望が達成された事項は18件、要望達成に向けて進展中の事項は16件、未達成の事項は9件であり、その進捗率は約80%と認識しております。この状況は協議前の数字でございます。

本日、43項目の要望のうち以下の項目について確認し、それぞれ中国四国防衛局のほうから回答がございました。4点ございます。
まず、1点目は「外郭防音工事の対象区域を75W区域に拡大することにつきましては、地元からの要望等を踏まえ、外郭防音工事の対象区幾が現在85Wまであるところを平成30年度から80Wまでの拡大に取り組んでまいる」というのが一つ目であります。

二つ目は、恒常的な空母艦載機離着陸訓練施設の建設場所を早期に決定し、同施設を岩国基地に建設しないことについては「岩国基地および周辺にFCLP施設を整備する考えはない」他方「FCLPの建設場所について馬毛島を候補地として検討を進めており、その施設の調査費等を平成29年度予算案に計上するなどし、その進捗に努めているところである」というのが2点目であります。

3点目が「岩国基地において空母艦載機のFCLPおよび事前集中訓練を実施しないことについては、恒常的なFCLP訓練施設が特定されるまでの間、米国が引き続き硫黄島でFCLPを実施する旨が確認されていることから、今後とも米側に対して、できるだけ多く硫黄島で実施するよう求めてまいる」ということ。

4点目が「消火訓練にあたっては基地周辺住民に影響を与えないよう実施すること」につきましては「平成28年度に消火訓練施設が整備され、黒煙の発生が軽減されていることが確認している」とのことでありました。

市はこれに対しまして、米軍および国によるこれまでの取り組みについて「進捗が見られる」とし、43項目の要望のうち21件の要望が達成されたものとして評価をし、13件については要望の達成に向け一定の評価をした。
他方、達成できていない項目については「引き続き誠意を持って取り組んでいただきたい」と強く要望し、中国四国防衛局は岩国市と十分に調整しながら引き続き取り組んでまいるとの回答がございました。43項目の各項目別の評価につきましては、お配りした資料の通りであります。

次の協議事項については、基地周辺対策事業の状況であります。
まず、先ほども申し上げましたが、中国四国防衛局は平成30年度から住宅防音の拡大について取り組むとの説明がありました。これに対し、市は国から目に見える形でたいへん前向きな説明があったことを踏まえ、要望事項に対する着実な進捗が見られるものとしております。

また、平成29年度予算においても住宅防音工事のための相当な予算が確保されていることについて評価しつつ引き続き事業促進について要望し、中国四国防衛局のほうからは「国の厳しい財政のもと住宅防音工事事業に積極的に取り組んでおり、今後とも努力を継続したい」という旨の回答がございました。
基地周辺対策事業の状況の他の議題につきましては割愛します。

次に米軍構成員等による事件・事故の防止であります。
岩国市および山口県は昨年度に広島県内で発生した2件の岩国基地所属の米軍人の暴行事件を受け、改めて教育の徹底や綱紀の保持を通じた実効性のある再発防止策を講じるよう申し入れをしたところであります。
また、例年実施しております。安心・安全共同パトロールやセーフティー・ブリーフィングについては、今後も継続して実施するよう調整していくことを確認したところであります。

次に航空機騒音の状況でございますが、新滑走路の運用開始後の平成22年6月から平成29年3月までの6年10カ月間の航空機騒音については、市内のほとんどの地点でW値および騒音発生回数が減少しております。
また、平成27年度と平成28年度の各1年間の航空機騒音の状況を比較いたしますと、いずれの測定点においても第1種区域の指定基準値である75Wを下回っております。平成28年度においては、岩国市の全域においてW値は減少しているものの一部の地域において騒音発生回数に若干の増加がみられたところであります。今後とも測定を継続し、騒音状況の把握に努めてまいります。

次に航空機の騒音規制措置であります。岩国市は航空機の運用時間短縮について日米合意を得ることを要望しております。
他方、平成28年3月27日より地元の強い要望を受け、民航機の発着枠を拡大するとともに利便性の向上を高めるため、民航機の運用時間は従来の7時から22時から7時半から22時半に変更されたところであります。
また、平成28年6月の市議会において民間航空機の離着陸に配慮した滑走路の運用時間を求める決議が賛成多数で可決されております。市は平成28年3月から民航機運用時間が7時半から22時半に変更されたこと、また先ほどの市議会の決議を踏まえ、当該の要望事項等については対応を検討していくと報告したところであります。

次に「その他」であります。まず1点目は普天間飛行場の移設に関する状況でありますが、「普天間飛行場の代替施設建設事業につきましては、平成28年12月20日に最高裁判所における最終的な司法判断がなされ、平成28年12月27日に工事を再開、さらに先月の25日に護岸工事も開始していると承知しております。

防衛省としては引き続き昨年末の最高裁判決と昨年3月の和解の趣旨に従い、関係法令に基づき住民の生活や自然環境にも十分に配慮して工事を進めてまいる所存である」。市および山口県のほうからは普天間基地移設の見通しが経たないうちに空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められないという基本スタンスを示しつつ引き続き移設をめぐる動向や政府がそれにどう取り組んでいくのかなど今後の情勢をしっかり見極めていく考えである。
また、そのために5月15日から16日に沖縄を訪問し、辺野古沖の移設工事の状況を視察してまいりますとのことを述べたところであります。防衛省のほうからは「必要な情報は適切に提起してまいる所存である」との回答がありました。

2点目、恒常的な空母艦載機離着陸訓練施設の検討状況であります。岩国市および山口県は、これまで本件につきましては、岩国飛行場および近郊を恒常的施設の整備場所とする考えはない旨の回答を得ていることから、これらの認識を踏まえ、検討を進めていただきたい旨を要望したところであります。中国四国防衛局長からは「防衛省としては本件について、できるだけ早く実現できるよう検討を進めていく」旨の回答がございました。以上が今回の協議内容でございます。
安心・安全対策について、国・県・市が共同して問題解決を図ることを目的に設立した本協議会でございますが、今回12回目の開催となりました。空母艦載機移駐の具体的なスケジュールが示されたことから、移駐の前に安心・安全対策については43項目の一つ一つの達成状況を確認し、また整理をしたところであります。
安心・安全対策の達成状況については5月21日と23日に開催する住民説明会の場でも市民の皆様に説明したいと考えております。
本日、いったん整理をさせていただきましたが、この安心・安全対策を含め、基地が存在する限り続く諸課題につきましては、今後も国・県・市が緊密な連携のもとに協議を行ってまいります。国においては、安心・安全対策の中の達成できていない項目については引き続き誠意を持って取り組んでいただきたいと存じます。

 

〔質疑応答〕

 

Q達成状況についての受け止め

 

〇福田良彦市長

この12回の協議を踏まえて43項目の安心安全対策等につきまして協議を重ねてまいりました。
今回の成果とすれば住宅防音工事で外郭防音工事の対象区域の拡大で成果があったわけであります。
その中で市としては43項目の全ての項目について100%の達成に向けて努力してきたところでもあります。国においては難しい協議があったかと思います。そんな中でできる限りの努力をされたことについては一定の評価ができるものと思っております。
今回、43項目の安心・安全対策の整理ということは今後の判断材料にはなりますが、その他の地域振興策や今後の住民説明会の意見、市議会等の意見もございますので、その上で今後の判断をしていくことになろうかと思っております。

 

Q日米地位協定の見直しについて

 

〇福田良彦市長

日米地位協定の見直しについては進捗がないと整理しております。
この件につきましては「政府としては日米地位協定については時々の運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えのもと、引き続き目に見える運用の改善を進めるよう努力をしていく考え」との回答をいただいております。
これは、岩国市のみならず全国の基地のある自治体の首長さんは、これについては声を上げております。いろんな場面において政府に要望しておりますので、岩国市としても引き続き協議をしていきたいと考えている項目であります。

 

Q今後のスケジュール

 

〇福田良彦市長

判断に向けた材料集めという認識は持っておりません。今年1月に国から具体的な空母艦載機移駐のスケジュールを示されました。7月から空母艦載機の移駐が始まるという説明がありました。移駐前にこれまでの協議に一定の整理をしなきゃいけないということでありますので、国が示したスケジュールに合わせて容認ありきで作業しているわけでもありません。
そんな中で43項目について一定の整理をしました。
それ以外にも地域振興策等も国と協議をしております。その協議の先に判断があるとこれまでも申し上げてきております。
今回の協議会も一つの判断材料にはなりますが、今後の地域振興とか住民説明会や議会の日程もあります。そういった全体的な協議を踏まえて最終的な判断をしなければならないと思っておりますので、結論ありきではありません。