第4回学習会 騒音問題「騒音コンターについて」


「基地問題」といえばまず航空機騒音。艦載機部隊の移駐が完了すると130機もの軍用航空機が所属することになる米軍岩国基地。特に空母への着艦訓練による騒音は移駐元の厚木基地でも大きな問題となってきました。岩国の地元でも不安が高まっています。

岩国市の住民説明会では、移駐後の「騒音予測コンター」が示され、「騒音が大きくなる地域もあるが概ね変わらない」と説明されましたが、なんだかよくわからないのが正直な感想です。地元住民の「基地騒音」についての知識が乏しいのが現状です。

そこで騒音訴訟に関わる中で、『航空機騒音』に取り組まれてこられた吉川法律事務所(岩国爆音訴訟弁護団団長)の安大浩一郎さんを講師に迎え学習会を開催しました。

講師略歴

安大浩一郎さん

S40(1965)東大工学部機械工学科卒

々 徳山曹達(現(株)トクヤマ入社)

s47~50(1972~1975)徳山曹達労組執行委員

H2(1990)1月徳曹相手に「(思想)差別是正裁判」(原告13名、その団長)

H8(1996)勝利和解

現在 吉川法律事務所(岩国爆音訴訟弁護団団長)勤務

岩国基地年表

学習会資料よりPDFファイル

騒音に関する 用語集

学習会資料よりPDFファイル

〇騒音理論・航空機騒音

学習会資料よりPDFファイル

〇航空機騒音状況

私の専攻は機械工学なので、もともと騒音については素人です。10年前岩国爆音訴訟の弁護団長となったことから「騒音」についての勉強を始めました。「騒音コンター」などという言葉もそれまで知りませんでした。勉強をして感じたことは、ネット上には防衛局や県・市などによる騒音状況の資料や学術研究など多くの資料が公開されています。それらの資料を我々が引っ張り出して検討することが出来ていないのですね。

日々の航空機騒音状況

たとえば中国四国防衛局のホームページの航空機騒音状況 岩国 で、毎日の航空機騒音状況が確認できます。今年7月10日夜、ステルス戦闘機F35Bが低空飛行をともなう激しい訓練飛行を行い市民の苦情が相次ぎました。

⽶軍岩国基地 騒⾳苦情155件 10⽇夜、20年間で最多 /⼭⼝ 毎⽇新聞 2017年7⽉12⽇ 地⽅版 https://mainichi.jp/articles/20170712/ddl/k35/040/400000c

⽶軍岩国基地(岩国市)を離着陸した⽶軍機によるとみられる騒⾳で10⽇夜、岩国市に 住⺠から寄せられた苦情は155件に達した。1⽇当たりの苦情件数で、この20年で最多 となった。 市基地政策課によると、10⽇午後6〜8時半を中⼼に、市街地の平⽥、錦⾒、室の⽊ 町、横⼭や周辺部の周東町などの住⺠から「3〜5機が編隊⾶⾏している」「低空を⾶んで いる」「うるさくて眠れない」などの電話やメールが相次いだ。騒⾳測定では滑⾛路北側の 川⼝町で計測した90・7デシベルが最⾼値で、地下鉄の⾞内の⾳(90デシベル)に達し た。

この日の航空機騒音状況を見てみましょう。

航空機騒音測定位置

国による測定 (防衛省中国四国防衛局では、岩国市10箇所、柳井市1箇所、周防大島町3箇所、和木町1箇所、広島県大竹市2箇所、江田島市1箇所、廿日市市2箇所の計20箇所で、常時、自動測定器により測定を行っています。)

山口県・岩国市で構成する「岩国基地騒音対策協議会」では、9か所の常時測定点で航空機騒音の測定を行っています。

〇国による測定 岩国市10箇所、柳井市1箇所、周防大島町3箇所、和木町1箇所、大竹市2箇所、江田島市1箇所、廿日市市2箇所の計20箇所・・騒音測定状況はこちら 〇山口県による測定 岩国市旭町、車町、門前町、由宇町の計4箇所・・・騒音測定状況はこちら 〇岩国市による測定 岩国市川口町、尾津町、由宇町3箇所の計5箇所・・・騒音発生状況はこちら

(画像をクリックすると大きくなります)

平成25年4月1日から「航空機騒音に係る環境基準について」、環境指標が「WECPNL」から「Lden」に変更されたので、騒音発生状況の表には両方が記されています。

参考:国土交通省 航空機騒音評価指針の変更についてのQ&A

 

〇騒音コンター

コンターとは等高線の事です。たとえば地図には山など同じ高さの点を結んだ等高線で描かれていますね。同じように騒音コンターとは音の等高線の図です。

こちらの図は、空母艦載機移駐後の航空機騒音予測コンター(平成18年当時沖合移設前の現状との比較)です。

 

これに防衛庁の騒音測定位置と7月10日の騒音状況の数値(単位db)を入れてみます。

これらの情報から航空機の飛行経路が推測できます。たとえば⑪の方が⑬より騒音が大きくなっていることから陸地よりに航空機が飛行したのではないかと思われます。

赤い線は空母艦載機が移駐した場合の騒音予測黒い線が滑走路沖合移設前の騒音コンターです。一番外側が70Wその内側が75Wの範囲です。

緑色の線に囲まれた部分が防衛庁が航空機騒音が激しい地域として、住宅防音工事の対象に指定した区です。

7月10日の夜、あれだけの騒音でニュースにもなったのに、騒音状況は騒音予測コンターの範囲内という事です。

騒音予測コンターや騒音状況の数字は、自動観測装置で測定した数値をコンピューターに入力してはじき出されたものです。

けれど、実際の騒音は周りの環境や人の感じ方によって違ってきます。また、単に大きい音だけが人にとって苦痛なわけでもありません。最近は低周波騒音も問題になっていますが、これらの人体に与える影響についての研究はまだまだ進んでいません。

 

 

岩国基地の特徴

米軍岩国基地が沖縄の普天間や神奈川の厚木基地と大きく違う点は海に面しているという点です。だからこそ滑走路を沖合に移設することによる事故や騒音の軽減が考え出されました。

しかし、またそのことが厚木の空母艦載機移駐の理由となりました。厚木や横田、普天間など周りを住宅地に囲まれています。(米軍が土地を接収したために、その周辺に住むしかなかったのですが)

岩国の場合は三角州の田園地帯を旧日本軍が接収して軍事基地をつくり、そのまま在日米軍基地になりました。基地は拡張されましたが一度も返還されていません。

防衛施設庁が平成17年に発表した「岩国飛行場に係る 航空機騒音予測コンターについて」では、海上しか航空機を運用しないかのような図が示されました。

騒音の自動計測器も海岸線にしか設置されていません。でも現実は?

厚木基地

たとえば厚木基地の場合。厚木基地周辺における騒音苦情の発生地点(厚木基地騒音対策協議会作成資料)

騒音を苦痛に感じた範囲は75Wの線を大きくはみ出しています。また赤い線が集中しているところが飛行経路と推測できます。

横田基地

横田基地も町のど真ん中に位置しています。

普天間基地

そして、世界一危険な基地といわれる宜野湾市の普天間基地です。

騒音コンターと飛行経路

沖縄では普天間基地の飛行経路を観測しています。

実際の飛行経路は防衛庁がしめす通常の飛行経路を大きくはみ出していることがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

二つの騒音コンター

昭和49年に二日間ですが、実際に騒音を観測して作成された騒音コンターがあります。実測したからこそ平成2年のコンターに比べて地形の影響などを反映し複雑な線になっているのがわかります。

測定点も市内をくまなく図っています。

 

求められる実態調査

7月10日行われた激しい米軍飛行訓練に対し多くの苦情が寄せられました。それに対する岩国市の対応は米軍に問い合わせたら「必要な訓練であった」との回答があったとそれだけでした。

KC130の墜落事故やオスプレイの沖縄、オーストラリアの墜落。大分空港への不時着。自衛隊機の墜落など航空機の事故が相次いでします。

問題は騒音だけではありませんが、厚木で行われているような苦情地域の把握や沖縄の飛行実態調査など、現実に即した実態調査が求められます。

また柳井市のホームページでは「米軍岩国基地に係る航空機の目撃情報及び騒音等に関する苦情の受け付けについて」からメール送信できるようになっています。

岩国市でも市民目線で騒音の実態調査に取り組むように強く要請していく必要があります。

 

編集より:安大浩一郎さんには専門的なお話から岩国基地の現状に至るまで興味深いお話をお聞かせいただき大変感謝しています。ありがとうございました。

ここでは7月10日の米軍訓練に的を絞って騒音問題を取り上げました。

学習会ではもっと掘り下げたお話しを伺いました。学習会資料が欲しい方はメッセージから請求してください。